小さな貝殻ひとつ
飾る海のピアノ
さびしいラムネのような
音符がほら
こぼれ出す
何を恋しがって
この胸は泣くのだろう
愛を飲み干したら
もう海の底には
遠く
波音に誘われて
爪弾く青いピアノは
逝く春の思い出を
このまま戯れに
なつかしむ
いちばん好きな曲だけ
弾けずにいた ずっと
貴方が教えてくれた
音符がもう
見えなくて
愛を恋しがって
この胸は泣くのです
肩に優しい手を
まだ待っていたくて
ひとり
波音に誘われて
寄り添い離れる和音
この指が紡ぐのは
悲しい歌ばかり
波音寄せて返し
爪弾く青いピアノは
逝く春の思い出に
貴方の手のひらを
なつかしむ